【株式会社医療経営研究所 伝え方コンサルタント 佐藤健太】
皆さん、こんにちは!
伝え方コンサルタントの佐藤健太と申します。私は、全国各地の医療機関を対象にリーダーシップやコミュニケーション、モチベーション、プレゼンテーションをテーマにした研修や講演を行っています。
このコラムでは、主に病院で働く事務職の皆さんの「プレゼンテーション力の強化」をテーマにしていきたいと思います。
院内の経営会議で病院の経営状況を説明したり、診療部門に制度の変更点と対応策を理解してもらったり、地域の医療機関・施設に自院をアピールしたりと、事務スタッフにも、さまざまなプレゼンテーションの場面があるでしょう。しかし、どれだけ長い時間をかけて話したとしても、どれだけ詳細な資料を用意したとしても、それが相手に伝わらなければ何の意味もありません。このコラムを参考に、自身のプレゼンテーション力に磨きをかけていただければうれしいです。
今回は「プレゼンテーションとは?」と題した導入編です。プレゼンテーションの目的と、要点を端的にまとめる方法について確認していきましょう。
■何のためのプレゼンテーションなのか
これは、ある病院のミーティングでの一場面です。
事務職員で接遇委員会メンバーの山本さんが、先月実施した患者アンケートの結果を、委員会で報告しています。患者が自院の医療サービスのどんなところに満足し、また何に不満を抱えているか、設問順に一つ一つグラフや表を用いて説明しているのですが、話し方が単調かつ要点を絞れていないため、予定していた時間を大幅にオーバーしてプレゼンが終わりました。本来なら、結果を踏まえた改善策も委員会の中で考える予定だったのですが、シフトの関係で場を離れなくてはならないメンバーもいたため、話し合いは次回に持ち越しとなってしまいました。
さて、山本さんのプレゼンは何が問題だったのでしょうか。今回は2つの点に着目してみたいと思います。
まず山本さんはプレゼンの「目的」をきちんと理解していなかったということです。
プレゼンテーションには、
1)自分の考えや情報を相手に正確に伝えること
2)相手に適切なアクションを起こしてもらうこと
-の2つの目的があります。
1)は誰もが理解していると思いますが、効果的なプレゼンテーションにするために押さえておくべきは2)です。つまり、「自分のプレゼンテーションによって、相手が適切な行動に移る」ということまで意識してメッセージを伝えていく必要があるのです。
例えば、テレビショッピングでは、「商品の魅力や性能を正確に伝えること」+「視聴者に商品を買ってもらうこと」を目的として番組が構成されています。商品の情報をどれだけ伝えたとしても、それが視聴者の購買行動に結び付かなければ、プレゼンテーションとしては失敗なのです。
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次回配信は5月2日5:00を予定しています
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