厚生労働省医政局の佐々木健・地域医療計画課長は18日、「第4回慢性期リハビリテーション学会」で講演し、団塊世代が75歳以上になる2025年に向けた入院医療機関の医療機能別病床数の整備について、「スピード感があるかどうかは別として、(目指す)方向に進んでいる」と述べた。その上で、「急性期機能」を担っていると自称する医療機関などが、実際にふさわしい医療を提供しているかどうかを、各地域でデータに基づいて検証してほしいと呼び掛けた。【佐藤貴彦】
14年度にスタートした病床機能報告で、入院医療機関は毎年度、自院が提供している医療機能を選択し、病棟単位で都道府県に報告している。
佐々木課長は講演で、今年度分の医療機能別病床数の集計結果(昨年末時点の速報値)を紹介。25年時点で全国的に不足すると予想される「回復期機能」の割合が前年度分と比べて高いことから、進むべき方向に進んでいるとの認識を示した。
一方で、医療機関が医療機能を選ぶ際の基準が抽象的だといった指摘があることに言及。対策の一環として今年度分の報告から、入院患者に実施した手術件数や、診療報酬上の加算の算定回数などを病棟単位で集計できる仕組みになったことを説明した。
その上で、各医療機関の医療機能の選択が内容を伴っているかどうかの検証や、将来に向けた役割分担の進め方の議論を、「地域医療構想調整会議」(調整会議)で関係者が行いやすくなるように、病棟単位のデータを分析し、その結果を各都道府県に伝える方針を示した。
また佐々木課長は、「地域医療介護総合確保基金」を活用して医療機能を転換させる医療機関などについても、調整会議で具体的に話し合う必要性を指摘。来年度分からの同基金の都道府県ごとの配分などを決める際に、そうした話し合いの状況を重んじる考えを強調した。
■回復期患者が急性期病床に入院している?
「回復期機能」を担う病床数について、会場の医療関係者から、将来不足すると推計されるものの、医療現場の感覚として既に飽和状態にあるといった声が上がった。
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