【株式会社メディチュア代表取締役 渡辺優】
■地域包括ケアシステムの推進の要
限られた医療資源を有効に使うため、近年の診療報酬改定では病床機能分化を促してきた。急性期病床においては、「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の厳格化等が行われ、条件を満たせない病院は、入院患者の状態に応じ、急性期病床の一部をポストアキュート、サブアキュートの機能に特化した地域包括ケア病棟に転じてきた。先日の中央社会保険医療協議会(中医協)資料によると=グラフ1=、地域包括ケア病棟(病室単位を含む)は5万床を超えている。
厚生労働省中央社会保険医療協議会総会(第344回)2017年1月25日資料
中医協の資料にもある通り、地域包括ケア病棟には、
①急性期病床からの患者の受け入れ
②在宅等にいる患者の緊急時の受け入れ
③在宅への復帰支援
―の機能が期待されている。2025年に向け、病床機能分化を一層進めるには、やはりこれら3つの機能が重要であり、地域包括ケア病棟はその中核を担うだろう。
■地域包括ケア病棟に「はしご外し」はあるのか
さまざまな地域で、地域包括ケア病棟への機能転換について病院関係者と議論すると、必ずと言っていいくらい「地域包括ケア病棟はそろそろはしごを外されないか」と聞かれる。25年に向け病床機能分化を進めていくことを考慮すれば、当面「はしご外し」はないと考えたい。しかし、5万床を超えた現在、前述の3つの機能を十分に果たしているかなどの検証が必要ではないだろうか。そこで、15年度の病床機能報告から地域包括ケア病棟のデータの一部を抽出し、どのような役割・機能を発揮しているかを検討し、「はしご外し」の可能性について考えてみたい。
次回配信は3月1日5:00を予定しています
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