【株式会社メディチュア代表取締役 渡辺優】
■効率的な病床利用は病院経営の基本に
効率的な病床利用は、限られた財源・医療資源を有効に使う上で大きなポイントであり、病院経営でも重要な要素だ。例えば、急性期病院の効率的な病床利用を促すため、7対1入院基本料の要件として、平均在院日数の制限や、DPC/PDPS制度での階段状の点数設計、機能評価係数Ⅱの効率性係数、「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)など、さまざまな仕掛けがある。
しかし、平均在院日数の制限については、効率的な病床利用を促す効果は薄く、医療システムを維持する上でマイナスの影響の方が大きいと考えている。
2016年度診療報酬改定における中央社会保険医療協議会(中医協)の議論でも、在院日数はかなり激しい論点になっていた(その様子は、【中医協】平均在院日数めぐり議論紛糾(2016/1/13)に詳しい)。
中医協での猪口雄二委員(全日本病院協会副会長)の指摘の通り、平均在院日数はケースミックスに強く依存しているため、○○日などと一律の制約を課せば、脳神経外科専門病院や血液疾患に強い病院は存続が厳しくなる一方、循環器内科に強い病院では楽々と要件をクリアするため、現状以上に早期退院を進めようとはしないだろう。
平均在院日数は、過去ずっと縮められてきて、実際、今、平均在院日数はまた縮まっているのです。ところが、規則としての平均在院日数は、縮めないほうがいいのか。私もこれ以上縮めないほうがいいと思っているのは、病院もしくは科によって、DPCの規定でもそうですけれども、平均在院日数は全然違うのです。したがって、短い者を診ている病棟はすごく縮まるし、もしくはそういう病院は縮まるけれども、科によっては、どうしても入院が長くなる患者さんを診ているところは、同じように医療密度が高くても、平均在院日数は上がってしまうのです。そこを縮めてしまうと、そこの病棟が維持できないということになるわけです。
(2016年1月13日中央社会保険医療協議会総会 第322回議事録)
このような事情を考慮すれば、次回改定の議論でも、平均在院日数を単独の指標として取り上げることはないと思われるが、看護必要度の厳格化などを通じて、効率的な病床利用を促そうとする議論が進められることは、ほぼ間違いない。
今回、時間をかけず、かつ公開データのみで、効率性改善の議論を進めるための資料の作成方法を紹介したい。
STEP 0:効率性係数の状況把握
STEP 1:重要な疾患の把握
STEP 2:他病院とのざっくりとした比較
STEP 3:周辺病院等の具体的なデータによる比較
次回配信は2月15日5:00を予定しています
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