【株式会社メディチュア代表取締役 渡辺優】
■複雑になり過ぎたDPCの医療機関別係数
急性期入院医療の診断群分類に基づく1日当たり包括払い制度であるDPC/PDPS(以下、DPC制度)には、1667病院、49万5000床が参加し、全一般病院89万4000床の約55%を占めるに至った。DPC制度への円滑な参加を促すために設定された出来高払い時の収入を保証する調整係数は、2012年度診療報酬改定から徐々に置き換えが進み、調整係数は当初の25%になり、理論上、機能評価係数Ⅱは12年度と比べ3倍になった。次回18年度改定では、調整係数がなくなり、基礎係数と機能評価係数Ⅱだけになる想定である。
厚生労働省保険局医療課平成28年度診療報酬改定の概要(DPC制度関連部分) 2016年3月4日版から引用
しかし、機能評価係数Ⅱは、「診断群分類点数表で表現しきれない、患者の重症度の乖離率を評価」する目的により、重症度指数が新設されるなど、年々複雑さに拍車が掛かっている。
図2 機能評価係数Ⅱの見直し内容(クリックで拡大)
厚生労働省保険局医療課平成28年度診療報酬改定の概要(DPC制度関連部分) 2016年3月4日版から引用
重症度指数と後発医薬品指数の関係性については、後発医薬品を積極的に使用している病院ほど重症度指数は低くなっている傾向が見られることから、重症度指数は単純に患者の重症度を表しているのではなく、医療内容の効率性も反映している可能性が否定できない。
後発品係数が低いほど重症度係数が高い矛盾(2016/6/22)
このような複雑な評価体系は、改善に向けた適切な意欲をそぐ結果となっており、インセンティブの効果が十分でない。本来、よりシンプルな評価体系を構築し、医療機関が皆、適切な方角を向くようなインセンティブを設定すべきである。
CBnewsの対談記事でも、千葉大学医学部附属病院の井上貴裕氏と、機能評価係数Ⅱを医療機関の努力が反映できる効率性係数を主としたシンプルな仕組みにしてはどうかと話し合ったが、今回、効率性係数を中心に評価した場合、どのような影響があるかを検討した。
在院日数が短くなっても、入院が増えない(2016/09/26)
7対1からの切り替えだけでは未来はない(2016/09/27)
次回配信は12月14日5:00を予定しています
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