政府の経済・財政再生計画の改革工程表では、年末までに結論を出すことになっているテーマが盛りだくさんで、全体の流れが見えにくい。今回、医療と介護分野の検討項目について、財務省の主張やこれまでの社会保障審議会(社保審)の部会などの議論について整理した。1回目は医療分野の項目を取り上げる。【大戸豊】
医療分野では、医療機関からすると、かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入が、今後どの程度広がるかが大きなテーマと言える。そして、国民にとっては、入院時の居住費負担、高額療養費制度の見直しなど、負担の引き上げをどこまで容認できるかが問題であり、特に高齢者の負担能力が焦点になっている。
医療・介護制度改革の視点と具体的な検討項目(クリックで拡大)
財務省資料より(以下同様) オレンジの部分は年末までに結論を出すとされている項目(マーキングはCBnews)
(1)入院時の光熱水費相当額に係る患者負担の見直し
【財務省の意見】
入院時生活療養費は、在宅療養との公平性の観点から、すべての病床※について、居住費の負担を求めていくべき。
※難病患者・小児慢性特定疾患患者等を除く
【これまでの議論】
10月12日に開かれた社保審の医療保険部会では、介護保険施設の入所者の負担額が昨年引き上げられたのを踏まえ、厚生労働省が一日当たりの負担額を320円から370円に引き上げることを論点として提示した。委員からは、介護保険施設と負担額を合わせるべきという意見と、賃貸住宅に住む患者が入院中、賃料と入院費の両方を負担するのは厳しいといった理由で、慎重に対応すべきとの声もあり、委員の賛否は分かれた。
厚労省は同日、医療区分Ⅱ以上の人の居住費負担の在り方や、居住費を負担する人を年齢によって区切ることの是非、一般病床や精神病床で入院期間が長い患者や入院医療の必要性が低い患者の負担の在り方についても、論点として示している。
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