【吉備国際大学 保健医療福祉学部 作業療法学科 准教授 京極真】
Q.ある患者さんから、 「ほかの病院を受診したら、別の診断がついた。 先日、ここで支払ったお金を返してほしい」と言われました。 無茶な要求だと思ったので、すぐ断ったんですが、 「ふざけるな!」と怒鳴られてしまいました。 こういう問題って対応が難しくて…。どうしたらよかったのでしょうか。 |
1)クレームを言う人に配慮し、
2)状況と関心を踏まえながらしっかり事実確認し、
3)丁寧に対応する -が基本です。
■クレーム対応が難しい理由
クレームとは、不平・不満を訴えて改善・対応を求めることです。臨床現場には、大小さまざまなクレームがあります。例えば、
「待ち時間が長すぎる!」
「医師の態度が悪い」
「リハビリ担当の療法士の手汗がキモい」
「薬をもらうだけなのに、どうして診察が必要なん だ!」
などなど-。
多くの医療者には、悪意をもって患者・家族を困らせようという意図がないので、不意なクレームに戸惑いがちです。また、事例によっては常軌を逸した苦情があったり、ときに訴訟に発展したりすることもあり、その対応には神経をすり減らします。
クレーム対応がなぜ難しいのか、その理由は、まさにこの点に求められます。私たちは、善意で行ったことに対して苦情・不満を言われると冷静さを欠いてしまい、頭が真っ白になってしまいがちなのです。それによって、普段ならできることもできなくなり、かえって相手の不信感が増すようなちぐはぐな対応になってしまうのです。
■クレーム対応で役立つ2つのフレームワーク
では、どうしたらよいのでしょうか。
クレーム対応は基本的に、
①ひとまず配慮する
②事実確認する
③丁寧に対応する
④感謝と謝罪を伝える
-といった手順で進行する、と日ごろから理解しておきましょう。
この手順については後で詳述しますが、これをしなやかに展開するためには、 「解決」と「解明」という2つの異なるフレームワークがある という理解が役立ちます。つまり、クレーム対応と一言で言っても、その水準は2つあるということです。
次回配信は9月30日5:00を予定しています
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