【医療法人社団浅ノ川金沢脳神経外科病院 事務部経営企画課課長 川腰晃弘】
前回まで、2016年度診療報酬改定における「重症度、医療・看護必要度」の基準の見直しが中小病院に及ぼす影響について、当院の試算結果に基づき、内容の検証と対応例を示してきた。
今回は、DPC制度の中でも、とりわけ多くの急性期病院にとって関心が高いと思われる「機能評価係数Ⅱ」について、主に中小病院の視点から、今改定の影響や対策を考えてみたい。
周知の通り、機能評価係数Ⅱは「医療提供体制全体として効率改善等へのインセンティブを評価したもの」とされ、8つの係数から成る。機能評価係数Ⅱが高いことは、優れた医療機能を有していることを示す指標の一つとしてとらえられており、毎年発表される医療機関別の係数の内訳には注目が集まる。そのような中、16年度改定で最も物議を醸しているのが新設された「重症度係数」ではないだろうか=表1=。
表1 2016年度診療報酬改定における機能評価係数Ⅱに係る対応
重症度係数は「診断群分類点数表で表現しきれない、患者の重症度の乖離率を評価」するとされている。しかし、評価方法(指数の計算式)は「“当該医療機関”における[包括範囲出来高点数]/[診断群分類点数表に基づく包括点数]」であり、基本的な計算式は調整係数と変わらない。暫定調整係数が18年度に廃止される中で、本係数の導入は理解に苦しむ。
確かに同じ診断群分類(DPC)でも、点数や在院日数に差が生じるものはある。=表2=は、当院における「160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷手術なし手術・処置等2なし定義副傷病なし」に該当した患者を、単純頭部外傷と重症頭部外傷に分けて、その差を示したものだが、明らかな差があるにもかかわらず、これらは同じ診断群分類で評価されている。「診断群分類点数表で表現しきれない、患者の重症度の乖離率を評価」するという重症度係数のコンセプトは、CCPマトリックスの対象疾患も限られていることもあり、理解できないわけではない。しかし、病院の効率化に向けた取り組みについても評価しているのだろうか。
次回配信は6月21日5:00を予定しています
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