【株式会社MMオフィス代表取締役 工藤高、株式会社メディチュア代表取締役 渡辺優】
DPC病院の経営において、機能評価係数Ⅱが重要であることは言うまでもない。「効率性係数を上げたら、複雑性係数は下がるのか?」とよく聞かれる。効率性係数は疾患別の在院日数の相対評価なので、疾患別で短い在院日数を達成していれば、高い値になる。一方、複雑性係数は簡単に言うと、ケースミックス(患者構成)で決まり、1入院の包括点数が高い整形外科や血液疾患の患者の比率が高い病院ほど、係数が高くなる。例えば、整形外科疾患に特化した病院が、非常に効率的な在院日数で病院運営すれば、どちらの係数も高くなる。しかしながら、冒頭のような質問が多いのには、何かしら理由があるはずだ。
グラフ1 機能評価係数Ⅱ効率性係数と複雑性係数の状況(2015年度)
厚生労働省中医協DPC評価分科会資料を基に作成
そこで、2015年度の効率性係数と複雑性係数をそれぞれ高い方から順に5等分してみた=グラフ1=。複雑性係数が最も高い上位20%のグループ(グラフ右端の棒)では、効率性係数の下位20%に入っている病院が多くなっている。逆に複雑性係数の下位20%グループ(グラフ左端の棒)では、効率性係数の上位20%に入っている病院が多くなっている。このような状況から、両立しないという誤解が生じているのかもしれない。しかし、正しくは両立しにくい事情があり、複雑性係数上位20%のグループにも、効率性係数上位20%に入っている病院がそれなりに存在している。また、逆にどちらも低い病院もある。
次回配信は5月25日5:00を予定しています
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