【千葉大学医学部附属病院病院長企画室長・病院長補佐・特任教授 井上貴裕】
2016年度診療報酬改定では、従来の退院調整加算をアップグレードした退院支援加算1が一つの目玉となっている。
連携パスを評価した地域連携診療計画管理料が廃止されたが、それに代わる地域連携診療計画加算を算定するには、退院支援加算1の届け出が必要だ(新生児を除く)。国はおよそ10年にわたり連携パスを強く推進し、そのためのインセンティブも用意してきたが、算定回数が少ないことから、当該管理料を廃止した判断は柔軟で素晴らしい。
退院支援加算1は、人員配置などのハードルが高く、届け出は困難かもしれない。ただ、後方病院が退院支援加算1を算定するには、前方病院での算定が前提となる。連携先に迷惑を掛けないためにも早期に届け出をしたい。
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なお、DPC/PDPSにおける地域医療指数の脳卒中連携では現在、地域連携診療計画管理料が体制評価指数の評価対象だが、今回の廃止を受け、17年度の機能評価係数Ⅱではどう評価するのだろうか。地域連携診療計画加算の届け出状況や算定件数に置き換えられる可能性が濃厚だが、医療機関にとっては、地域連携診療計画加算の算定が経済的な意味ではベストとは限らない。
本稿では矛盾をはらんだ制度を概説し、どのように対応すべきかについて言及する。
1 今回改定における退院支援加算1
退院支援加算1の算定には、入院後3日以内に退院困難な患者を抽出し、7日以内に患者・家族と面談し、カンファレンスを実施することなどが求められる。これは退院支援加算2(従来の退院調整加算をスライド)よりも要件が厳しい。ただ、退院困難な患者の抽出が7日以内という加算2の要件は、今日の在院日数の短さを考えれば遅すぎる。より実態に即した要件となったと考えるべきだろう。
退院支援加算1では、退院調整部門および病棟への退院支援職員の専従職員の配置がネックという声も多い。ただ、高齢化が進む中、特に救急医療に積極的な病院では、退院が困難な患者は確実に増加することから、地域連携をより密にする必要がある。そのような点では、退院支援における手厚い人員配置は望ましく、できるだけ早期に届け出をしたい。
次回配信は5月23日12:00の予定です
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