【日本医業経営コンサルタント協会福井県支部 支部長 杉原博司】
2016年度診療報酬改定で、「地域包括ケア病棟入院料」「地域包括ケア入院医療管理料」は、点数が据え置きのまま、手術・麻酔が出来高算定となりました。中央社会保険医療協議会(中医協)での検討段階では、「包括範囲の見直しは点数引き下げとセットで」という議論もあったことから、3月4日の告示と通知に安心した方も多いのではないでしょうか。
導入による効果には、
(1)DPC病床の内容を濃くし、急性期病床の運営を安定化する
(2)DPC/PDPSにおいて低く抑えられている包括入院単価が、地域包括ケア病棟の包括入院料(約3万円)に移行することで増収になる
―という2つがあります。このうち(2)は手術・麻酔が出来高払いとなって、さらに期待されます。
しかし、地域包括ケア病棟への転換は、本当に収入増をもたらすのでしょうか? 「地域包括ケア病棟入院料は包括差益がある」と思い続けていると、思わぬ落とし穴が待っていることもあります。今回は、こうした観点から地域包括ケア病棟の導入について検討したいと思います。
■入院期間Ⅲの見直しの影響は?
16年度改定での入院期間Ⅲの見直し=図=は、地域包括ケア病棟においては追い風となるでしょう。既に地域包括ケア病棟を導入済みの病院は、ほっとされているかと思います。
一方、病棟ではなく病床(地域包括ケア入院医療管理料)で導入しているDPC病院は、病棟への拡大・転換が急務となるでしょう。また、DPC病床においては、遅くとも入院期間Ⅱが終了するまでに退院・転棟・転院を行わなければ、収益が下がることが予想され、こちらも運用の見直しが必要です。
次回配信は3月29日5:00を予定しています
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