2016年度診療報酬改定の具体案を、中央社会保険医療協議会(中医協)が答申しました。7対1入院基本料(7対1)の要件厳格化など、一部の病院経営者にとって厳しいメニューが並ぶ同案ですが、適用される4月を前に中医協の委員にインタビューし、注目すべき点や、今後の改定に向けた課題を聞きました。 |
中医協の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、7対1の要件厳格化が不十分だと強調する。その上で、18年度の介護報酬との同時改定に向け、早いうちに7対1の要件見直しの検討に着手すべきだと話す。具体的には、患者の重症度と入院期間、退棟後に自宅に帰る割合などを総合的に評価できる指標の新設が必要だという。【聞き手・構成=佐藤貴彦】
7対1の施設基準の見直しは、大きな課題を残したと感じている。「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)の基準を満たす患者割合と平均在院日数、在宅復帰率の3要件セットでの見直しに意味があると主張してきたが、平均在院日数は見直されなかった =表1、クリックで拡大= 。
また、在宅復帰率の基準が引き上げられたものの、分子と分母がほとんど同じ要素で、算出される値は100%に近い =表2、クリックで拡大= 。
看護必要度の基準を満たす患者割合は「25%以上」に引き上げられるが、同時に基準が見直され、該当する患者が増える。それでも、患者割合「25%以上」が要件になれば算定病床が最大4.9%減ると、厚生労働省は試算していた。
しかし、その試算後、C項目の「救命等に係る内科的治療」など、該当する患者像が追加された =表3、クリックで拡大= ことで、病床数への影響は、マイナス0.8%からマイナス2.8%程度になったと思う。一般病棟の7対1の算定病床数は約37万床だから、最小で3000床ほどの減少にとどまる計算だ。下振れすれば増床にもなり得る。
現場が使いやすい「病棟群」実現を-中医協委員インタビュー・万代氏
看護必要度見直しで、病棟構成に変化も-中医協委員インタビュー・猪口氏
「かかりつけ薬剤師」、分業率向上にも期待-中医協委員インタビュー・安部氏
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