【日本医業経営コンサルタント協会福井県支部 支部長 杉原博司】
7対1および10対1を届け出ている病院は、今こそ地域包括ケア病棟に転換すべきなのか―。この重要な経営テーマについて、2016年度診療報酬改定の最新動向を踏まえながら考える連載の第2回は、引き続き、地域包括ケア病棟導入の課題を詳しく見ていきたいと思います。
第1回「地域包括ケア病棟、導入する?しない?」 では、16年度改定で手術料が出来高算定となることや、急性期病床における「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)の新基準なども踏まえ、導入による経済効果が大きいと期待できる病院の目安や、4つのチェックポイントを示しました。
このように検討していくと、地域包括ケア病棟の導入に「適している病院」と「適さない病院」が見えてきます。
「導入に適している病院」としては、
ア)平均在院日数が長く、病床当たりの手術件数が少ない
イ)自院の急性期病床からの転棟で、地域包括ケア病棟の患者が賄える
ウ)転院割合が少ない(紹介・逆紹介)
エ)リハビリ機能が充実している
オ)トップダウンで導入が決定できる運営体制
―といった姿が浮かび上がるでしょう。
ア)の平均在院日数が長くなる理由には、「後方支援病院など、バックベッドが充実していない」などの環境要因を抱える地域もありますが、多くの場合は、特定の診療科および疾患の入院に要因があり、担当医師の治療方針によっても大きく影響を受けています。入院を長期化させるのは、高齢者における脳卒中、骨折、心疾患、慢性疾患の急性増悪などです。これらの入院患者を多く抱えている病院で、後方支援病院との連携が弱い場合には、自院に地域包括ケア病棟を導入するメリットが大きいと考えられます。
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次回配信は3月1日5:00を予定しています
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