【千葉大学医学部附属病院病院長企画室長・病院長補佐・特任教授 井上貴裕】
2016年度診療報酬改定では、DPC/PDPSの機能評価係数Ⅱの8項目として「重症度指数」が試行的に新設されそうだ。
機能評価係数IIに「重症度指数」の新設を-DPC分科会が最終報告案
これは、診断群分類では十分に評価されない重症度の高い患者を受け入れていることを評価するための指数である。包括払いという環境下では、軽症の患者のみを診ようするクリームスキミング(収益性の高い分野だけ参入し、“いいとこ取り”をすること)が起きるリスクが高くなることから、合併症を持った重症患者の引き受け手を評価するという趣旨であるならば高く評価できる。
しかし、問題はその評価方法である。重症患者への対応機能は、包括範囲出来高実績点数と診断群分類点数表の比で表すというのだ。つまり、医療資源投入量の多寡が問われており、医療機関群Ⅱ群の実績要件の一つである診療密度と似た性格を有することになるため、二重の評価になる恐れもある。
平成27年度第8回(11月30日開催)診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会資料より
重症度指数は、医療資源の投入量が多いことが、重症患者への対応状況を表すという面がある一方で、標準化と効率化が遅れた医療機関を評価してしまう側面もあり得る。重症度指数が本当に重症度を反映するものなのか、あるいは無駄な医療資源投入が多い医療機関を保護することにつながるのか、本稿では重症度についてDPCデータを用いた検証を行い、今後のDPC/PDPSの制度設計のあり方および各医療機関における対応策に言及する。
次回配信は1月18日5:00を予定しています
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