【京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学准教授 成本迅】
■まず本人の意向を聞いて、地域から情報を得る
病院に勤務する医師や看護師が気を付けたいのは、治療についてまずご本人の意向を聞いてみるということです。当たり前のようですが、家族にだけ説明をして、治療方針を決めてしまうことが実際には多くあります。
次に、在宅でかかわっている訪問看護師やケアマネジャーから情報を得ることです。医療の選択についてはどうしても病院だけで完結しがちですが、ご本人の望む治療について重要な情報を持っていることも多いのです。
最後に、家族とのコミュニケーションの取り方です。医療に関して知識の乏しい家族は、治療の決断をするように言われても難しく、心理的にとても負担を感じます。場合によっては患者さんが亡くなった後も、「あの選択でよかったのか」などと、苦悩を抱えることもあります。そのような事態を避けるためにも、家族に決断を迫るのではなく、医療者側が一緒に考えていく姿勢を示す必要があります。また、家族に対して、ご本人だったらどのように考えるかを想像してもらうのもよい方法だと思います。
このようなきめ細かいサポートは、医師だけでは不可能で、看護師との協力が必要です。医師が医療行為について説明をして、その後の家族の質問には看護師が答えるという病院もあります。医師に直接質問することができない家族を考えると、有効な方法だと思います。私たちの聞き取り調査では、家族はその治療をした場合、どのような経過をたどるのかを特に知りたいと思っているという結果が多くみられました。治療内容だけでなく、その後の経過についても分かりやすく説明する必要があります。
■病院と地域が共同で治療方針を決められることが理想
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