【株式会社MMオフィス代表取締役 工藤高】
次回2016年度診療報酬改定に向けて、診療報酬調査専門組織の「DPC評価分科会」ではCCPマトリックスの試行的導入や算定ルール、機能評価係数Ⅱの変更案等の議論が活発になってきた。CCPマトリックスについては、導入に向けて特に反対意見などはなかったようだ。肺炎・脳血管疾患・糖尿病の3疾患が候補に挙がっているが、導入された場合、どの病院においても、少なからず影響が出てくるだろう。CCPマトリックスのコーディング方法を理解することは、適切な請求を行うために不可欠であり、理解が不足すれば、病院経営にマイナスの影響を及ぼすことも十分にあり得る。
また、入院期間Ⅲの最後の日を、従来の計算方法で算出した日よりも長い30の倍数にする案(28日なら30日、31日なら60日)への変更についても留意が必要だ。単に入院期間延長を行うだけの病床稼働率優先経営の原理主義者が、さらに自らの方針を揺るぎないものにしそうだ。
ただし、DPC評価分科会の資料では、「入院日Ⅲが延長することに伴い、『現行の入院期間Ⅲの点数設定』と『平均在院日数を超えた期間の一日あたり医療資源投入量の平均値』を比較し『現行の入院期間Ⅲの点数設定』の方が高い場合には、『平均在院日数を超えた期間の一日あたり医療資源投入量の平均値』を採用する」となっている。つまり、入院期間Ⅲの現行の入院期間Ⅱマイナス15%点数よりも出来高平均点数(医療資源投入量)が低い場合は、そちらで請求することになっている。入院期間Ⅲ包括点数狙いのロングステイ的な病床稼働率優先経営はできないわけだ。
さらに大きな変更点は、一部を除いた機能評価係数Ⅱの分散が均等になることだ。これにより、在院日数短縮の努力を評価した「効率性係数」は「良い病院はもっと良く、低い病院はより低く、とても低い病院は低いままで変わらず」という結果になりそうだ。本稿はこの点についてデータ分析で影響を考えてみたい。
これらの変更は決まったわけではなく、これからの中央社会保険医療協議会総会での議論に委ねられている。あくまでも仮説であることはご留意いただきたい。例年3月末から4月をまたがって入院する患者のDPC請求方法はいつも複雑怪奇となるが、いずれにしても、案通りに実行されたとしたら、次回はいつも以上に大変になることは間違いない。
【訂正】
本文3パラ目「つまり、入院期間Ⅲの点数よりも自院出来高平均点数が低い場合は、そちらで請求することになっている。出来高点数が低い患者について、入院期間Ⅲ包括点数狙いのロングステイ的な病床稼働率優先経営はできないわけだ」を、「つまり、入院期間Ⅲの現行の入院期間Ⅱマイナス15%点数よりも出来高平均点数(医療資源投入量)が低い場合は、そちらで請求することになっている。入院期間Ⅲ包括点数狙いのロングステイ的な病床稼働率優先経営はできないわけだ」に訂正しました。
次回配信は11月25日5:00を予定しています。
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