【千葉大学医学部附属病院病院長企画室長・病院長補佐・特任教授 井上貴裕】
2016年度診療報酬改定において、7対1入院基本料の要件厳格化が図られ、その打開策として地域包括ケア病棟を設置する病院が増加することが予想される。地域包括ケア病棟は、重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)A項目1点以上の患者が10%以上など要件は緩く、7対1入院基本料の隠れ蓑としての使い勝手はよい。
もちろんデータ提出加算の届け出が必須とされているため、各医療機関の使い方は監視されていると考えるべきであり、制度趣旨に沿った利用方法を追求すべきである。
ただ、急性期病院にとって7対1の維持は死活問題だ。10対1に移行すれば、看護部から「救急をストップしてほしい」「重症患者の受け入れを制限してほしい」という声が上がるだろう。あるいは、7対1並みの人員配置を、10対1の報酬にもかかわらず継続する要望が出るはずだ。
いずれの選択肢も病院にとっては大きなマイナスであり、現実的とはいえない。やはり、「7対1病棟を維持するために平均在院日数を短くしたい」「看護必要度を維持したい」と考えた場合の選択肢として、現行制度の中で地域包括ケア病棟を設置することが有力な選択肢であることは間違いない。
ただし、総合入院体制加算1を届け出る医療機関は、地域包括ケア病棟の設置ができないし、総合入院体制加算2についても、14年4月以降に届け出た場合には、地域包括ケア病棟を開設できない。
本稿では、この規定の妥当性と今後のあるべき方向性について言及する。
次回配信は11月16日5:00を予定しています
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