【京都医療センター臨床研究センター予防医学研究室、株式会社コンパス・プロジェクト 岡田浩】
先進諸国では、高齢化に伴う生活習慣病患者の増加や医療費の増加は共通する課題となっています。この対策の一つとして、現在日本でも検討されている薬局を活用したセルフメディケーションの推進に加え、さまざまな疾病予防や慢性疾患管理プログラムが推進されています。これから2回にわたり、薬局薬剤師による生活習慣病患者支援の可能性について海外での研究成果も踏まえながら紹介することにします。
2.薬局を活用するメリット
日本は人口当たりの薬剤師数で先進諸国中で最も多い国の一つです(マルタにつぎ第2位)。ご存知だったでしょうか? OECD平均の1.8倍にも達しています=グラフ1=。理由の一つとして、日本では多くの調剤作業をすべて薬剤師の手作業で行っていることが上げられます。海外の薬局でも調剤補助者の数を加えれば、だいたい日本と同数だと言われていますが、その補助者も近い将来には、調剤ロボットや業務の効率化で数が減るのではないかと言われています。日本国内で医療者不足が叫ばれている現在、高度な薬学知識を学んだ薬剤師が、薬局で調剤作業に多くの時間を費やさざるを得ないのは、大変もったいないことです。もし、薬局で調剤業務の効率化が進められたら、薬剤師という豊富な人的資源を、さらに活用できるはずです。
グラフ1 先進諸国の10万人当たりの薬剤師数
日本の薬剤師数はマルタに次いで第2位で、OECD平均の1.8倍の数になる
OECD iLibrary ※4
次回配信は10月16日5:00を予定しています
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