【医療法人寿芳会 芳野病院 経営企画室長 園田直則】
私たち芳野病院は2014年4月、いち早く7対1病床と亜急性期病床を地域包括ケア病棟に転換したわけですが、14年度診療報酬改定に合わせて無理やり病床機能を変更したというよりも、もともと地域の高度急性期病院の後方支援病院として、リハビリに特化した医療を提供してきた役割が見事に地域包括ケア病棟とマッチしたという側面が強かったと思います。しかし、それでも実際の移行に当たっては、さまざまな問題が噴出し、対応に苦慮する場面も多くありました。地域包括ケア病棟に移行してから安定した運営となるまでの私たちの取り組みを振り返りたいと思います。
第1回(「私たちは地域包括ケア病棟を選んだ」) でも触れたように、まずは自院の役割と置かれている立場を明確にするマーケティングを実施し、それに基づき複数のシミュレーションを行って、病床の変更パターンを決めることから始めました。病床の機能や編成が大きく変わる際は、自施設で蓄積した大量のデータを用いて、再編後の病床運営をしっかりイメージすることが重要です。現在の患者層であればどんな結果になるか、どのような不具合が出るかを考える必要があります。
このとき注意しなくてはならないのは、そこに現場の意見がなければ、机上の空論となりやすいということです。
「移行したはいいが、診療報酬の算定要件を維持できない」「患者数が維持できない」「業務負担が過度に増え、退職者が続出する」といった事態に発展してしまいます。現場の意見にこそ課題解決の糸口がありますし、安定的な運営を行う上で非常に重要なファクターであると考えます。
次回配信は7月9日5:00を予定しています
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