国内唯一の高齢者向け専門食品の展示会「メディケアフーズ展2015」が28日、東京ビッグサイトで始まった。高齢者向け食品市場の拡大が期待される中、展示会には食品メーカーなど約140社が出展。今回のテーマは、「多職種で支える、高齢者の食と栄養」。病院や介護福祉施設、在宅向けの食品に加え、厨房設備や衛生資材なども展示された。会期は29日まで。【松村秀士】
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■ムースを使ったオムレツ、「今までなかった」
水産業界大手のマルハニチロは、ビタミンやカルシウムなどを含んだムースを使ったオムレツなどを展示。昨年10月から病院や介護施設などに提供を開始したこの食材は、オムレツに加工しても舌で簡単につぶせるのが特徴だ。
同社の担当者によると、ムースを使用したオムレツなどの高齢者向け食品は今までなかったという。また、「簡単に作れて、通常の卵焼きと比べて時間短縮につながるので、朝食で提供するのに最適」(同担当者)とし、加工のしやすさを強調した。
■初出展の医療機器会社、栄養豊富なアイス棒を展示
今回の展示会に初めて出展したテルモは、栄養価の高いアイス棒をブースに並べた。ミルク味のアイス棒には、タンパク質やビタミン、カルシウムなどの栄養素が含まれているほか、天然由来のアミノ成分であるポリグルタミン酸も配合。一方、市販されている同様のアイス棒よりも糖質を抑えた。
同社の担当者は、「高齢者や食が細くなった人でも食べやすいので、おやつのときに喜んでもらえる」と説明。現在、慢性期の病院を中心にこのアイス棒を提供しているが、今後は介護老人保健施設や在宅へも展開する方針だ。
■嚥下機能低下でも食べられる大福
冷凍食品大手のニチレイは、病院や介護福祉施設向けの加工食品の製造・販売にも力を入れている。展示会では、昨年に発売した「とろける大福」を、ブースの大部分を使ってアピール。主に嚥下機能が低下した人を対象としており、舌でつぶせるよう柔らかく加工したという。
生地には国産のもち米、中身のこしあんには北海道産のあずきを使用するなど材料にこだわった。同社のブースには大勢の医療・介護関係者らが集まり、関心の高さがうかがえた。
■注目集めた感染症予防の衛生資材
医療機関などの施設で、インフルエンザや感染性胃腸炎の集団発生が相次いでいるため、展示会では感染症予防のための衛生資材も注目を集めていた。
空調設備などを手掛ける須賀工業は、消毒効果がある次亜塩素酸を含んだ水を生成する装置を紹介。この装置は、病院や介護福祉施設などの手洗い場に設置するタイプで、利用者が生成された水で手を洗うことで、ノロウイルスやインフルエンザウイルスなどの感染を低減できるという。同社の担当者は、「次亜塩素酸の濃度が低いため手荒れしにくいのが特徴。介護老人保健施設などからの引き合いが多い」と語った。
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