全国保険医団体連合会(保団連、住江憲勇会長)は25日、中央社会保険医療協議会(中医協)の部会が実施した2014年度診療報酬改定の影響調査の結果の速報を受けて声明を出し、同改定で実施された在宅医療に関する診療報酬の見直しを撤回するよう求めた。【佐藤貴彦】
【中医協】在宅医療の報酬改定で混乱なし(2014/12/24)
中医協の部会が実施した調査は、集合住宅などに住む複数人の患者を一日で訪問診療する場合(同一建物居住者)の診療報酬の引き下げに関するものだ。24日に速報が公表され、中医協の総会は同日、これを基に医療・介護現場への改定の影響について議論。在宅医療の現場に、全体的に大きな問題は起きていないとの認識を確認した。
保団連は調査結果のうち、改定前後の変化に関する診療所の回答から、在宅医療に取り組む医療機関にかなりの影響が出ていることが明らかになったと指摘。訪問診療に携わる医師の労働時間が長くなったかどうかを聞く設問で25.4%、訪問診療に関する収入が減ったかどうかを聞く設問で41.3%が、それぞれ「大いにあてはまる」か「あてはまる」と答えている点などを強調した。
さらに、医療機関が訪問診療する患者を囲い込むため、集合住宅などとの間で契約を交わして利益を提供するといった事例について調べた結果、そうした契約が改定前にあったと答えた医療機関が、診療所で1.3%、病院ではゼロだった点にも言及。「レアケースを根拠に在宅医療点数の大幅引下げを断行し、真摯に在宅医療に取り組む医療機関が被害を受けている事実は、到底容認できるものではない」と訴えた。
保団連は、同一建物居住者の在宅患者訪問診療料や在宅時医学総合管理料の減算のほか、訪問診療料を算定する同一建物居住者について、「訪問診療に係る記録書」の記載を求める運用なども撤回するよう求めている。
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