【京大大学院教授(健康情報学分野) 中山健夫】
ビッグデータが語られる時、よく聞かれるのが「ビッグデータでは、因果関係は重視されなくなる」とか「原因ではなく、相関だけが重要」といった言葉です。わたし自身は、この言葉に半分は同意しつつも、もう半分は「本当にそうかな」という気持ちを持っています。今回は、ビッグデータに限らず、データから適切な情報を読み解くための、幾つかの大切な注意点をお話ししたいと思います。
しかし、医療的介入の判断でも同じことが当てはまるでしょうか? 誤った判断が大きな会社を傾かせるビジネスの世界でも、もちろん慎重さは必要ですが、医療の世界では、人間の生死に直結するという意味で、一層の慎重さが求められます。人間の生命現象や社会的行動のデータを医学・医療の意思決定につなげるには、データの相関関係だけでなく、その背景にあるものにもより厳しく目を凝らさなければいけません。
(次回配信は6月12日5:00を予定しています)
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