2014年度診療報酬改定で同一建物居住者への在宅患者訪問診療料などが引き下げられることを受け、全国保険医団体連合会(保団連)は10日、田村憲久厚生労働相らに対し、減算実施の中止を要請する文書を送付した。保団連は要請で、同一建物居住者への大幅減算は、中央社会保険医療協議会(中医協)で実態を踏まえた十分な議論がなされていないと指摘。これらの減算が、患者紹介ビジネスなどを禁ずる目的ならば、「業者への指導・監督を強化するなど、診療報酬以外で対応すべき」とした。【丸山紀一朗】
これに対し、保団連は「地域医療を担う保険医の団体として、到底容認できない改定内容が散見される」と主張した。会員からは、「これでは訪問診療を行えば行うほど赤字となってしまう」「もう施設からの在宅医療の要請には応えられない」などの悲痛な声が大量に寄せられているとして、9日の理事会で、大幅減算の中止を要請することを決定。10日に、厚労相を含む政務三役と中医協委員に対して同要請を送付した。
要請では、厚労省が5日に通知で示した、減算対象としない患者や診療形態について、「この内容では在宅患者から次々と寄せられる医療要求に応じることは困難で、実態に合わない運用規定と言わざるを得ない」と反発。今回改定で在宅医療の厳格化を急速に進めたい意図が垣間見えるとして、「このような急変をこのまま実施すれば、医療現場は対応できず、混乱を引き起こすことは必至」と強調した。保団連は13日に国会内で開く集会で、これらの内容について意見交換する予定。
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