中央社会保険医療協議会(中医協)は29日の総会で、入院や外来の取り扱いなど、2014年度に実施する診療報酬改定の議論を一巡させた。診療報酬改定案を2月中旬ごろに取りまとめ、田村憲久厚生労働相に答申する。医療法改正案が今通常国会に提出される見通しで、これに合わせて今回の診療報酬改定では、医療機関の機能分化や連携強化、在宅医療の推進などがテーマになる。入院医療の見直しの一環として厚労省はこの日、急性期を乗り越えた患者の受け入れを評価する「地域包括ケア病棟入院料」と「地域包括ケア入院医療管理料」の新設を提案した。これに伴い、現在の「亜急性期入院医療管理料」は廃止する。【兼松昭夫】
地域包括ケア病棟入院料の新設を提案したのは、現在は不足している急性期後の患者の受け皿を整備するため。病室単位の届け出も想定し、地域包括ケア入院医療管理料の新設も併せて提案した。たたき台によると、これらはそれぞれ2段階の点数設定にする。脳血管疾患などの「疾患別リハビリテーション」か、「がん患者リハビリテーション」を届け出ていることが条件。一定以上の看護配置も求めるが、一方で「看護職員配置加算」や「看護補助者配置加算」を新設し、より手厚い配置を促す。
これらの病院に対して厚労省は、急性期病院を退院した患者や緊急患者の受け入れ、在宅復帰支援などの役割を担わせたい考え。このため、▽在宅療養支援病院の届け出▽在宅患者の受け入れ実績(年間)▽二次救急病院の指定(救急告示病院)―のいずれかのクリアも求める。また、重症患者の受け入れ割合や「データ提出加算」の届け出も要件にする。
地域包括ケア病棟入院料1と地域包括ケア入院医療管理料1には、これら以外に在宅復帰率の実績と、1人当たり居室面積の確保も求める。
地域包括ケア病棟入院料は、許可病床数が少ない病院では全病棟で届け出られるようにする。看護配置の基準をクリアすれば療養病床による届け出も認めるが、こうしたケースでは届け出病棟数の上限を設ける。厚労省は、これらの診療報酬の点数や重症患者の受け入れ割合、在宅復帰率などの具体的な数字は明らかにしなかった。
現在の亜急性期入院医療管理料は、看護配置13対1以上、在宅復帰率6割以上などが条件で、一般病床の3割以下の病床(一般200床超の病院は最大40床、100床以下は最大30床)でしか算定できない。
■7対1の算定要件、早期リハは見送り
7対1入院基本料の算定を届け出る病院を絞り込むため、14年度改定ではこの入院基本料に新たな算定要件を追加したり、現在の要件を厳しくしたりする。同省のたたき台によると、算定要件の追加は一般病棟入院基本料だけでなく、特定機能病院入院基本料と専門病院入院基本料の7対1も対象で、一定の準備期間を経た上で実施する。
新たに加わるのは、▽データ提出加算の届け出▽自宅のほか地域包括ケア病棟・回復期病床、在宅復帰の実績がある介護老人保健施設に転退院した患者の割合―の2つの要件。
当初は、早期リハビリテーションの実施も組み込む方向で検討したが、見送った。早期リハビリテーションの実施を要件に組み込むことで理学療法士など人材の奪い合いを引き起こしかねないなどの懸念があったためで、最終的に「ADL維持向上等体制加算」(14日を限度に算定)を新設して早期リハビリテーションを評価することになった。
一般病棟、特定機能病院、専門病院入院基本料のうち7対1と10対1の算定病棟が対象で、理学療法士などのスタッフや、リハビリテーションの臨床経験がある常勤医師の配置などが要件。また、入院時よりもADLが低下した患者の割合が一定未満であるなど、実績面のクリアも求める。
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