【医療法人社団三樹会病院副院長 佐藤嘉一】
男性更年期障害と聞いて、皆さんはどのような症状をイメージされるでしょうか?
「気分が憂うつ・晴れない」「何となく体の調子が悪い」「きのうの疲れが取れない」「性機能が低下してきた」などでしょうか?
そもそも男性更年期障害は、女性では女性ホルモンの低下による更年期障害が認められるように、男性においても加齢に伴う男性ホルモン(テストステロン)の低下が生じることから研究が始まりました。男性ホルモンの低下は、女性ホルモンが閉経を機に急激に低下するのとは異なり、加齢に伴い徐々に低下していきます。男性ホルモンであるテストステロンは、多くの臓器に作用し、さまざまな体の機能を調節することが明らかになっています =表1= 。
つまり、これらの生理機能がテストステロンの低下とともに徐々に低下し、 =表2= のような症状が生ずることが予想され、それらはLate-Onset Hypogonadism(LOH:加齢男性性腺機能低下)症候群と呼ばれています。マスコミでも取り上げられることも多く、LOH症候群は広く知られるようになってきました。
しかし、わたしたちの男性更年期外来では、もう少し広い視野で男性更年期障害を考えています。つまり、男性ホルモンの低下という観点のみならず、加齢に伴う中年期の身体と精神的変化を男性更年期ととらえています。
当然のことながら、身体機能の調節は男性ホルモンのみにより行われているわけではありません。また、ホルモンに関係なく、多くの身体機能が変化していきます。さらに、中年期には身体的な変化のみならず、仕事や家庭でのストレスが、知らず知らずのうちに蓄積され、精神面に影響を及ぼす場合も多々あります。このような心身両方の変化の時期を男性更年期ととらえ、その後の活気ある中高年時代を創造するきっかけになることを使命と考え、2002年から男性更年期外来を行っています。
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