【株式会社MMオフィス代表取締役 工藤 高】
本連載では急性期病院の、主にデータに基づいた経営分析を中心に取り上げていきたい。DPC(DPC/PDPS)対象病院では、4月から新しい「機能評価係数2」での請求が始まった。6つの係数は「診療実績や医療の質的向上等を評価」したものである。DPC病院における急性期の診療機能・実績を評価して、係数として病院収益を左右させる点で、行政側の意向を反映させやすい。また、病院側もインセンティブが明確なので、経営改善の取り組みの基準にしやすいメリットがある。さらに、2018年度(平成30年度)までに前年度収入保証の調整係数をなくし、代わりに機能評価係数2のウエートを高めていくことが決まっている。先日公表された13年度の機能評価係数2の内訳を用いて、その動向と客観的に評価されるポイントを解説する。
DPC病院群の1-3群で、機能評価係数2合計の増減を見ると、DPC病院各群で約半数の施設で増加、半数で減少しており、DPC病院群による影響は見られなかった=図1=。さらに12年度の機能評価係数2の数値を基準に、施設数がほぼ均等となるよう5つの施設群に分け、それぞれの施設の増減を比較した。その結果、12年度係数が低かった群は増加した施設数が多く、逆に高かった群は減少した施設数が多くなっている=図2=。
この結果から、全体の機能評価係数2の差は縮まったと考えるのは早い。係数合計が増加した施設のうち、増加幅が0.002以上の大幅な増加をした施設を数えてみると、12年度係数合計の上位20%にも、他グループと同様か、むしろそれ以上の割合で大幅増加している施設が含まれていることが分かる=図3=。つまり、トップランナー病院は改善・向上のギアを緩めることなく、さらに加速しているものと考えられる。
なぜ、トップランナーには、大幅な上昇をした病院が含まれているのだろうか。その要因を探るべく、さらに詳細を見ていく。
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