社会保険診療に対する消費税の非課税措置は憲法違反だとして、兵庫県民間病院協会の会員である4病院が国を相手取って起こしている訴訟で、神戸地裁は来週27日に判決を下す。消費税率の段階的な引き上げが決まり、医療界では非課税措置によって病院側に負担が発生している「損税問題」の解消に向けて、「課税化した上での軽減税率・ゼロ税率」を求める声が高まっている。厚生労働省のある職員は「現行制度について、根本的に問題といわれている裁判で仮に負けた場合、(社会保険診療に対する消費税の扱いをめぐる議論に)それなりに大きい影響がある」と話す。
日本医師会(日医)の試算によると、社会保険診療報酬に占める控除対象外消費税の割合は現在2.2%だが、消費税率が10%に引き上げられた場合は4.4%となり、負担が2倍になるという。
厚労省はこの控除対象外消費税について、1989年の消費税の導入時と、税率が5%に引き上げられた97年に行った2回の診療報酬改定で、一部の項目に上乗せして対応したと主張しているが、日医など医療団体側は上乗せ分の状況が不透明だとして、診療報酬による手当てではなく、課税化した上での軽減税率、ゼロ税率で対応するよう求めている。
「非課税といっても、診療報酬に転嫁しているため、患者さんに負担が発生している。ゼロ税率で課税化する仕組みにすれば、患者さんが消費税分を負担することなく、医療機関の消費税も全額控除できる」と、日医の三上裕司常任理事は説明する。
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