厚生労働省は30日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院教授)の総会に、9割超の医療機関が算定している2つの加算を包括するのに伴い、2012年度診療報酬改定で入院基本料と特定入院料を引き上げる方針を示し、了承された。具体的な引き上げ幅は今後、協議する。
ただ、栄養管理体制を整備するには一定の時間がかかるため、11年度末までに栄養管理実施加算の算定に必要な施設基準の届け出を行っていない医療機関については、経過措置期間を設ける。
厚労省はまた、病院の療養病棟が算定する「療養病棟療養環境加算3」(一日90点)と同加算4(一日30点)を廃止し、代わりに点数が低い「療養病棟療養環境改善加算1」と同加算2を新設する案も示した。ただ、経過措置として、12年9月30日まではそれまで通り療養環境加算を算定できる。
療養環境加算3と4の廃止は、病棟の廊下幅や、一人当たりの病室の面積などの要件が、医療法の基準を下回っているため。ただ医療法では、病棟の廊下幅は全施設に、一人当たりの病室の面積では1999年度末までに療養病棟に転換した施設に経過措置が適用され、施設基準が緩和されている。
新設される療養環境改善加算は、経過措置が適用されている医療機関が、療養環境の改善に関する計画を策定し、毎年その改善状況を報告すれば、建物を増築するか、全面的に改築するまで算定できる。
支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は、「内部の改装で済む病室の面積について、10年間、経過措置を続けていて、なおかつ加算を出すという考えが、わたしにはよく分からない」と述べ、医療法上の経過措置を解消すべきだとの考えを示した。
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