特定の診療科や地域の医師の偏在を解消するため、厚生労働省は26日の有識者検討会で、大学医学部について従事する診療科を指定する「診療科選定地域枠」や恒久定員内への地域枠の設置の促進を論点に挙げた。また、中堅以降の医師の偏在にどう対応するかも検討課題に挙げた。法改正や規制緩和も含めた対策を求める意見や、高齢の医師の活躍を促す方策が必要だとの意見が構成員から出た。【松村秀士】
医学部での地域枠の設定は、地域で医師を確保するために有効な手段とされている。中でも、従事要件で診療科の範囲を特定した診療科選定地域枠は、地域ごとの実情に応じて必要な診療科の医師を確保することができる。
文部科学省の調査によると、全都道府県の55.3%が2024年度に診療科選定地域枠を設定していた。また、同年度の医学部臨時定員の地域枠(全978枠)のうち診療科選定地域枠は410枠(41.9%)だった。
診療科の特定は都道府県ごとにさまざまで、例えば外科や小児科、産婦人科、救急科、麻酔科、総合診療など一定の範囲の診療科の中から希望する診療科に従事するなどの方法が取られている。これにより医師の希望をある程度満たしながら診療科の偏在を解消するといった機能を果たしていると考えられている。
また、恒久定員内への地域枠についても、臨時定員の地域枠に依存せずに地域偏在是正を進められる方策として重要で、都道府県や大学によっては活用が進んでいる。
議論では神野正博構成員(全日本病院協会副会長)が、医師の偏在を解消するため地域枠以外の有効な方策は現時点では考えられないとした上で、
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