【国際医療福祉大学大学院 医療福祉経営専攻 教授 石山麗子】
「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」が4月15日にスタートした。検討会では、ケアマネジメントの質の向上と人材確保に向けた制度的・実務的な論点を包括的に議論する。具体的には、▽ケアマネジャーの業務の在り方▽人材確保・定着に向けた方策▽法定研修の在り方▽ケアマネジメントの質の向上に向けた取り組みの促進-の4項目。ただ、こうした諸課題の背景をどう理解するかによって議論や取りまとめ方がずいぶん異なるものになるのではないか。筆者は諸課題には複数の背景があると考えている。
筆者は、この検討会の構成員として末席に身を置かせていただいており、検討会の位置付けを考えると身の引き締まる思いである。なぜなら2012年に「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」が開催されたが、その後の施策の展開がこの検討会での指摘に沿って行われていたことを知っているからだ。
この検討会がまとめた「議論の中間的な整理」で指摘された事項の解決を図るため、厚生労働省は約10年かけて介護支援専門員とケアマネジメントに関する諸政策を講じてきた。現行の重要かつ多くのケアマネジメントをめぐる諸政策はその検討会に由来する。つまり、新たな検討会は約10年ぶりに今後のケアマネジメントを考える場として、極めて重要である。
ケアマネジメントは介護保険の中核となる手法であり、制度全体への影響が大きい。単に居宅介護支援のことを論じているのではない。だからこそ少なくとも、「現状の大変さ=ケアマネジメントの課題」ではなく、諸課題の複数の背景を捉える必要がある。参考として13年に示された指摘に対し打たれた施策を一覧にした=表=。
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