【元松阪市民病院 総合企画室 世古口 務】
松阪市民病院で総合企画室を立ち上げ、良い成果が見られた2項目を説明します。
■1.診療材料費の購入費の削減
DPC/PDPSを導入している病院では、医療材料をいかに効率よく購入するかも重大な課題です。松阪市民病院では「総合企画室」が医療材料購入費用のコスト削減に取り組み、大きな成果を上げました。
コンサルティング会社を活用しながら、各病院におけるいろいろな医療材料の年間使用数、値引き率のデータを収集しました。これを参考に、当初は総合企画室副室長2人で、医療材料を取り扱う業者と直接、価格交渉を行いました。医療材料の価格交渉をする場合、これまではこのような納入価格のベンチマーク分析を取り入れておらず、納入業者の話を全面的に信用し、担当事務職員も「自院では、他の病院よりも安い価格で医療材料を購入している」と思っていました。これは大きな勘違いで、医療材料の納入価格のベンチマーク分析を行った結果、当院より年間使用数が少ないにもかかわらず、当院より高い値引き率で購入している病院があることが分かりました。これまで、医療材料ごとの値引き率は使用数に比例するものとばかり思っていましたが、実際にはそうではないことが分かりました。
すなわちベンチマーク分析を導入することにより、自院の納入価格が市場全体のどのあたりにあるのかを知る手がかりになります。「総合企画室」が医療材料の価格交渉を行ったのは2010年度の途中からでしたが、、約2か月で約4,400万円の経費を削減し、この他にも医薬品費、委託費、保守点検費用の削減などで、同年度は約1億円の経費削減を達成、11年度は約1億6600万円の経費削減を達成しました。
■2.医事課業務の委託を廃止し、直営による効率化
松阪市民病院では、11年3月まで医事課業務を民間会社に全面的に委託しており、さまざまな問題が生じていました。主な問題点は次のようなものです。
問題点その1
医事課業務を専門とする委託業務の会社と20年近く契約をしていたため、事務系の職員が収益管理すらできない状態でした。
問題点その2
医事課業務を全て業務委託していたため、市からの異動により配属されてくる職員は診療報酬請求に無関心で、
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次回配信は3月8日5:00を予定しています
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