【元松阪市民病院 総合企画室 世古口 務】
新型コロナ禍もほぼ終息に近づいたかと思っていましが、「第10波が到来か?」という情報も届いています。2023年11月の中央社会保険医療協議会において病院開設主体別に見た損益率の推移が公開されました=グラフ=。ここでの損益率(%)は、(医業・介護収益―医業・介護費用)÷(医業・介護収益)×100で計算され、新型コロナ関連の補助金は含まれていません。公立病院が極めて厳しい状況であることが明白です。恐らく24年度はさらに悪い数値になるものと思います。
公立病院でも、今まで以上に真剣に病院経営を考えていかなければいけないと思います。全国の病院の中で、病院の事務部門の部署として経営企画部門を有する病院は約70%です。公立病院においても「経営企画部門」は、よく耳にする部署ですが、多くの病院では名前だけであることが多いように思います。
筆者の勤務していた松阪市民病院においては、22年4月、当時の院長の発案で経営企画部門として「総合企画室」が設立されました。極めて実践的であるという点で、他の病院と異なると思います。「総合企画室」が組織された背景には、地方公営企業法の全部適用、一部適用の一般的な公立病院特有の弱点を是正するという目的がありました。今や病院経営を安定化させるためには、医師、看護師の医療レベルの向上だけでなく、事務系職員のスキル向上が必須であります。
■一般的な公立病院の事務部門の弱点
他の病院と比較した場合、一般的な公立病院(地方公益企業法、全部適用、一部適用の病院)の事務部門の弱点として次のような点があります。
■その1
(残り4399字 / 全5097字)
次回配信は2月22日5:00を予定しています
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】