【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長 、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
病床利用率の低下が止まらない。グラフ1は人口10万人当たりの一般病床の1日当たり在院患者を見たものである。地域差はあるがいずれの都道府県でも2020年以降、減少傾向にある。
さらに、これを開設主体別にしたものが表である。75%を超えるのは社会福祉法人及び医療法人のみであり、極めて厳しい状況が分かる。
ただ、病床機能も影響するはずである。グラフ2は一般病床及び療養病床を有する病院に占める療養病棟を有する病院の割合を見たものであり、医療法人はその比率が高い。
一方で最も病床利用率が高い社会福祉法人に目を向けるとDPC病院の割合が低く、障害者施設等を有するケースが多い。差別化が図られており、患者を獲得しやすいのかもしれない=グラフ3・4・5=。急性期が過剰であり、そこでしのぎを削るよりも、ブルーオーシャンの領域を探すことが重要であることを示唆しているのだろう。
とはいえ一般病床全体で利用率が上がってこないことは事実であり、病院経営者として不安にさいなまれることも多いはずだ。だからこそ、短期的に成果が出やすい救急医療に注力し、不応需を減らせと、げきを飛ばしている方も多いだろう。新入院患者を獲得するためにも、地域医療を支えるためにも救急医療は大切であり、ある意味、医療の原点とも言えるこれらへの注力は欠くべからざるものである。ただ、結局は限られたパイの奪い合いになるわけだし、24年度診療報酬改定でも高齢者救急の受け手が最大の論点の1つに挙げられており、急性期病棟で診るべき患者は限定されてくるかもしれない。
そうなると稼働率優先主義がはびこり、
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次回配信は2月13日を予定しています
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