【元松阪市民病院 総合企画室 世古口 務】
公営企業法、一部適用の松阪市民病院で、どのようにして医師人事評価制度を導入したのか、その経緯と具体的な内容を説明いたします。
■医師人事評価制度導入までの経緯
2006年4月に院長、事務部長、事務部長補佐、看護部長、外部のコンサルティング会社(現在の日本経営)からなるプロジェクトチームを結成し、医師のヒアリング(3回)、説明会(4回)を開催しました。そこで挙がった内容に加え、「何を評価するのか」という点を重要視し、病院側の期待する内容を加えて制度構築しました。原資の捻出が困難でしたが、経営改善の兆しが見え、院長の努力により08年12月、第1回目の医師人事評価制度を実施し、「勤勉手当」を支給することができました。医師に対しては人事評価制度導入に対する誤解のないようにヒアリング、説明会を何回も実施することがポイントとなります。
■医師人事評価制度の特徴
次のような点が松阪市民病院院の医師人事評価制度の特徴です。
■特徴その1
地方公営企業法の一部適用の病院であり、医師とはいえ松阪市給与条例で規定されているなかで導入した。
■特徴その2
全職種の中で、医師に対して最初に人事評価制度を導入し、その後順次、看護師をはじめ他の医療職にも人事評価制度を導入していくことを院長が明言した。
■特徴その3
年間の医業収益の0.5%を人事評価制度による「勤勉手当」の原資として確保し(市議会、市長の了解)、マイナスの評価はないため、医師にとって不安要素がなかった。ただし、前年度の経営状況が赤字であれば、規定通り「勤勉手当」として満額支給されるとは限らないことも院長が明言した(これが17年連続経常収支比率100%以上の黒字なっている1つの原因かもしれません)。
■特徴その4
6月、12月のボーナス支給日に、人事評価結果のコメントとともに、給料、ボーナスとは別に「勤勉手当」として現金で支給した(銀行振り込みでは効果は少ない!)。
■医師人事評価制度の概要
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次回配信は2月9日5:00を予定しています
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