【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
2024年度からの介護報酬改定率はプラス1.59%で、光熱水費のプラス0.45%相当の増分を含めるとプラス2.04%相当となる。
インフレという状況下で初めて行われる介護報酬改定のため、過去最高の改定率であった2009年度の3%増を上回る改定率を期待していた関係者にとって、プラス改定とは言え、この数字は諸手を上げて喜べる結果ではない。特に事業収益に直結する本体報酬は0.61%増にすぎず、21年度の改定率(プラス0.7%)に満たないため、今後の事業経営戦略に頭を悩ませている関係者は少なくないだろう。とにもかくにも算定できる加算を取りこぼさないように、算定要件に合致する体制を整えるしかないだろう。
ところで、今回の介護報酬改定は、医療分野との関わりが特に深い訪問看護、訪問リハ、通所リハ、居宅療養管理指導の4サービスに限り、診療報酬改定の施行時期に合わせて6月に施行される。
その他のサービスは従前どおり4月の施行となるが、処遇改善については全サービスで施行時期が繰り下げられている。賃上げ対応分の0.98%増については、現在3種類に分かれている処遇改善関連加算が、「介護職員等処遇改善加算」に統合・一本化されることで実現が図られるが、23年度補正予算における福祉・介護職員の処遇改善の措置が24年5月まで講じられることから、新加算は24年6月1日施行となる。この点にも注意が必要である。
いずれにしても、介護事業経営者はこの加算を最大限に活用する努力も必要であり、今から新加算の算定や配分の戦略を立てる必要がある。人材不足が介護事業者の最大の経営リスクとなっているのだから、他の事業者に従業員が流れてしまわないように、4区分に分かれる新加算の最上位区分Iの算定は必須と考えなければならない。
さらに、その配分をどうするのかが大きな問題であると認識しなければならない。というのも現行の3つの処遇改善加算それぞれで異なっている職種間の賃金配分ルールについては、「介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分することとするが、事業所内で柔軟な配分を認める」とされ、事業者の裁量で配分職種や金額を決定できるようになるからだ。介護事業経営者は、従業員が最も納得できて、気持ちよく働き続けられるように、その配分を決めなければならない。
■新設の処遇改善加算、居宅ケアマネは蚊帳の外
ところで配分方法について、事業者の裁量権が広げられることにより、介護職員と同様に人材不足が深刻化しつつある介護支援専門員についても、介護職員と同額もしくはそれ以上の配分を行うことも可能となる。しかしそれはあくまで
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