【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■確度の高い生産年齢人口の激減
12月22日に公表された2020年国勢調査を基にした将来推計人口を用いて、生産年齢人口の増減率を見た=グラフ1=。20年時点の生産年齢人口と比べ将来増える地域は限定的である。35年には、関東の中心部がかろうじて減らないくらいで、ほとんどの地域で減少する想定である。また45年には、多くの地域で20年時点の半分以下になる想定である。
今から20数年後の45年には、団塊ジュニア世代が75歳前後に到達する。そのため、その時点においても多くの地域では一定程度の医療介護需要が見込まれる。現状でさえ医療介護従事者の確保は厳しい環境にあるが、今後、生産年齢人口の減少により、ますます厳しい環境となることはほぼ確実である。
■医療介護の持続性担保に外国人材の活用を考えるべきか
医療介護の提供体制を維持することを前提として、この難局を乗り越えるには、大きく3つの考え方がある。
1.他産業から人材を取る(≒取られないようにする)
・魅力的な報酬設定
・良好な労働環境の整備
2.生産年齢人口を増やす
・出生率向上
・流入人口増加、流出人口減少
・生産年齢人口の定義を変える(「15-64歳」から「15-70歳」など)
・外国人材の活用
3.生産性を向上する
・業務の標準化、効率化
・コア業務への専念(タスクシェアリング、シェアリングの推進など)
・ICTの活用
今回は2番目の生産年齢人口を増やすにフォーカスする。1点目は出生率向上である。すでに大きく低下している出生率は、異次元の少子化対策を持ってしても、上向くことには懐疑的な目が向けられているだけに、過度な期待は持てないだろう。2点目の流入増・流出減は、東京への一極集中の現状、および東京周辺での今後の医療介護需要の増大を考えると、グラフ1より楽観的なシナリオを考えることは難しい。3点目の生産年齢人口の定義を変えることは、シニア人材の活用などにつながる。豊富な経験・知識を有するアクティブシニアの活用は間違いなく重要になるだろう。4点目の外国人材の活用は、近年、コロナ禍の海外からの渡航制限や円安など、厳しい環境に置かれていることは間違いない。しかし、10年、20年の長い時間軸で考えるならば、何かしら検討すべき取り組みであるだろう。
■年々増え続けている外国人労働者の数
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次回配信は1月17日5:00を予定しています
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