【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■誤嚥性肺炎などへの看護必要度の評価厳格化ならチャンスも
前回の拙稿で述べた通り、一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)においてB項目が廃止されることになれば、高齢患者の多い代表的な疾患である誤嚥性肺炎や尿路感染症、圧迫骨折、心不全などは評価が厳しくなることが想定される。しかし、仮に評価が厳しくなるとしても、高齢化の進展によりこれらの患者を診ることの重要性はむしろ高まる。この現実を踏まえるならば、誤嚥性肺炎の患者などへの医療の質向上を図ることに対する評価は高まってしかるべきである。
具体的には、医療介護の同時報酬改定に向けた意見交換会で、誤嚥性肺炎患者に対する多職種連携の資料が示された=資料1=。
資料からは、嚥下機能評価の実施と早期経口摂取の重要性が読み取れる。早期介入の内容には、口腔ケア、姿勢調整、呼吸ケア、栄養ケア、食事介助、食事の段階的ステップアップなどが例示されており、多職種による連携・介入が重要であることが強調されている。
意見交換会の資料には、摂食嚥下チームの介入効果に関するものもあり、医師、歯科医師、看護師(摂食・嚥下障害看護認定看護師)、言語聴覚士、理学療法士・作業療法士、薬剤師、歯科衛生士の役割が例示されている=資料2=。
嚥下機能評価、早期経口摂取の重要性がここまで分かりやすく示されているならば、これをチャンスと捉え、積極的に取り組んでいくべきである。
■摂食嚥下支援チームに関連する診療報酬の届け出がなかなか進まない現状
22年度の改定直後にこの連載で「摂食嚥下支援チームの設置が当たり前の時代へ」と題し、摂食嚥下支援チームの取り組みの重要性について述べた。改定直後の6月審査分の算定状況について、病院種類別・病床規模別に比較すると、特定機能病院では算定割合が高く、療養病床を有する病院では低い傾向が見られた=グラフ1=。
また、病床規模別でも算定割合は明らかに大病院ほど高い傾向が見られた。これは、中小病院における認定看護師などの人員配置の厳しさや、療養病棟入院料の算定施設で嚥下機能の評価を実施することの難しさなどを反映しているものと思われる。
しかし、摂食嚥下機能回復体制加算の届け出・算定の厳しさを目の当たりにし、摂食嚥下支援チームの取り組み意欲を失うのはまだ早い。
■嚥下機能評価の実施に5倍以上の地域差
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次回配信は11月15日5:00を予定しています
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