認知症高齢者の利用が増える傾向にある「小規模多機能型居宅介護」(小多機)について、厚生労働省は23日の社会保障審議会・介護給付費分科会で、認知症対応力の向上に向けて現行の認知症加算の取り組みに加え、新たな区分を設ける案を示した。専門的研修の修了者の配置や認知症ケアの指導、研修の実施などを対象にする。一方で、新設区分の取り組みを促す観点から、現行の単位数の見直しも検討する。
小多機は、中重度の要介護状態となっても住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、24時間365日の在宅生活を支援するサービス。近年、利用者のうち認知症高齢者の割合が増加する傾向にある。
認知症加算の算定率は事業所ベースで、(I)が92.3%、(II)が70.5%で、多くの事業所が算定を行っている(介護給付費等実態統計、2022年4月審査分)。
また、各介護サービスの利用者に占める認知症高齢者の「日常生活自立度II以上」の割合についても、全ての要介護度において、多機能系サービスの中で小多機が最も多い(介護保険総合データベースの任意集計、22年4月審査分)。
一方で、医療依存度が高くなって経管栄養が必要となったり、認知症が重度化して宿泊サービスから自宅に戻ることが困難になったりして、小多機から施設・居住系サービスに移行し、利用を終了する利用者も一定数いることが分かっている。
23日の分科会では、こうしたさまざまな状況を踏まえた上で、小多機に期待される機能・役割で認知症対応力を一層強化する必要があるとして、方策を議論した。
委員からは、専門的なケア提供体制に対する評価が必要だという声が多く上がった。
日本介護福祉士会会長の及川ゆりこ委員は、現在評価の対象となっている認知症介護実践リーダー研修について、「この研修だけではなく、同等のレベルが担保されたものであれば幅広く評価の対象にしてほしい」と要望した。
また評価の対象についてさらにどのような
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