【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
社会保障審議会の介護給付費分科会での次期介護報酬改定に関する議論では、サービス種類ごとの今後の論点を示す第1ラウンドが終了した。今後は9月にかけて事業者団体などへのヒアリングを行った上で、10月から12月にかけて第2ラウンドとして具体的な方向性を議論。12月中に「報酬・基準に関する基本的な整理・とりまとめ」が行われる。改定率はこの際に示されることになる。
第1ラウンドの審議の最終日となった8月7日は、介護保険3施設と特定施設などがテーマとなったが、厚生労働省から提示された資料を読むと、全ての施設で「看取りへの対応の充実」が論点として挙がっている点が注目される。“多死社会”に突入した日本では、全サービスで看取り介護やターミナルケアの実践が重要とされていることが分かり、それに関する報酬の加算は今後も重視されていくだろう。
ところで、同日の議論の中で、介護老人保健施設(以下、老健)については在宅復帰機能が最も重要であることが再確認される意見が多く出された。例えば、老健でのリハビリテーションについて、老健入所直後は集中的なリハビリによりADL(日常生活動作)が比較的大きく改善することが示されているとして、在宅復帰に結びつく効果のあるリハビリの実践へのさらなる評価が必要であることが示唆された。同時に、認知症リハビリに関しては「学習療法や記憶訓練等に比重が偏っている」と指摘され、在宅復帰に結びつくための廃用症候群の予防や活動・参加につながる訓練をもっとすべきだとの指摘があった。
このことに関連した意見として、「在宅復帰に向けた地域拠点としての役割、リハビリで心身機能を維持・改善する役割は引き続き重要。報酬のめりはり付けも念頭に置きつつ、サービスを必要とする高齢者がしっかりと利用できるようにしていくことが必要だ」という指摘もあり、基本サービス費についても、在宅復帰機能がより高い老健への報酬をこれまで以上に手厚くするべきだという考え方も示された。
このように老健に関する論点では、今まで以上に在宅復帰・在宅療養支援機能の促進に向けた報酬設定が最重要課題とされているのである。
■類型ごとの報酬単価、傾斜配分強化の可能性
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