【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長 、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
2014年度の医療法改正で地域医療構想と病床機能報告制度が創設された。そこでは2025年の医療需要と病床の必要量を高度急性期・急性期・回復期・慢性期の機能区分ごとに推計するとともに、各医療機関の現在の状況と今後の方向性について病床機能報告により見える化し、各構想区域に設定された地域医療構想調整会議において、病床の機能分化と連携に向けた協議を行うこととした。なお、病床機能報告が病棟ごとの機能を報告するものであるので、病棟別に7対1や10対1の配置が求められるのではないかという噂もあったが現状でも病院全体での基準となっている。それは厚生労働省によると診療報酬は地域医療構想に寄り添うものであり、診療報酬で地域医療構想を誘導するものではないことから当然かもしれない。ただ、時の経過とともにパラダイムシフトが起きていると私は感じており、もはや地域医療構想と診療報酬は別物であるという前提は成り立たなくなってきているのではないだろうか。
私がそう考える5つの理由を以下で言及する。
まず1つ目として、資料1が18年度診療報酬改定で示された入院医療の評価体系と主な機能である。真ん中の「急性期医療~長期療養」という部分について確かに実態を表すのかもしれないが、これは地域医療構想と診療報酬の一体化というイメージを避けるためにあえて行った表現だと私は捉えていた。
ところが、22年度診療報酬改定ではその部分が「回復期医療」と明記されており、熟慮の結果としての表現なのだろう=資料2=。
21年度の病床機能報告を見ると地域包括ケア病棟について急性期機能での届け出が約2割あり、もちろん当該病棟の使い方によるところはあるわけだが、今後の在り方についての議論につながっていく可能性もある。一方で、地域包括ケア病棟を7対1看護師配置の急性期一般入院料1に戻す場合に、病床機能は「回復期」のまま施設基準の変更を行うケースもあるが、この妥当性も地域医療構想と診療報酬に関係によって影響されることになるだろう。
2つ目は
(残り1534字 / 全2424字)
次回配信は8月28日を予定しています
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】