【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
科学的介護情報システム(LIFE)は、科学的エビデンスに基づく介護を生み出すために構築された国の介護データベースである。ここに全国の介護事業者を利用する人の個人データを集約し、それを解析したものをデータ提出元の事業所にフィードバックし活用させることで介護の方法と結果の因果関係を抽出し、根拠ある介護実践を目指そうとするものだ。
それが実現すれば、最も効率的に自立支援やQOL(生活の質)の向上といった暮らしの質に結びつくだけではなく、介護事業の生産性が向上し、従前より少ない人の手による介護が可能になるという意味もある。
そのため2021年度に新設された科学的介護推進体制加算は、LIFEへの情報提出とともに、定期的に行われるLIFEからのフィードバックを、利用者のサービス計画書のPDCAサイクルに活用することが算定要件とされている。
しかしLIFEに集約したデータの解析が不十分であるためか、フィードバックの正式版がなかなか行われなかった。そのため、22年5月30日に事業者フィードバックの暫定版が改善されてダウンロードできるようになった際、厚生労働省は同日、フィードバック票活用の留意事項を周知。その中で、「フィードバック票に係る課題については、今後検討を行ってまいりますが、PDCAサイクルの活用に当たっては、本資料を踏まえ、各事業所において、可能な範囲でご活用ください」とアナウンスしていた。そのため、活用できるフィードバックは行われていないとして、PDCAサイクルの活用を行わずに加算を算定している事業者が多かった。
そのフィードバックが改善され、23年6月30日から事業所フィードバックと利用者フィードバックがダウンロードできるようになった。そのため今後は、科学的介護推進体制加算などを算定している事業所は、このフィードバックをPDCAに活用していく必要があると思われる。
■今のままでは科学的介護に結びつかない
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