【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■3分の2の病院は給食業務を委託に
病院における患者給食業務は、2010年以前までに委託への切り替えが急速に進んだ=グラフ1=。10年代以降、自前・委託の比率に大きな変化はないが、直近20年の調査結果では約3分の2の病院で委託(全部委託、一部委託の合計)になっている。
委託への切り替えの背景には、メニュー管理の手間削減や給食材料の調達効率化などのコスト削減、調理スタッフの確保や育成などの人材管理、安全衛生面の向上のノウハウ導入、食事のクオリティー向上などの理由が挙げられる。コスト削減だけ、食事のクオリティー向上だけ、など単独の目標をクリアするだけであれば、自前で対応できるかもしれない。しかし、コストも抑えながらクオリティーや衛生面の向上を図るのは容易でない。また、調理スタッフの確保が難しいという話は多くの病院で聞く。昼食が中心の学校給食ではパートの人員確保が比較的容易なことに対し、朝昼晩3食を提供する病院は早朝から夜まで人員が必要なゆえに確保が難しい。
このような課題は、病床規模に関係なく共通である。そのため、病床規模別の委託状況について1996年と2020年を比較すると、病床規模によらず、自前が大幅に減り、全部委託が増えている=グラフ2=。
また、設立母体によらず委託が進んだ=グラフ3=。
特に国公立病院では一部委託を含めた委託割合が8割を超えている。一方、民間病院は委託が6割強と相対的に低い。
■管理栄養士は厨房から病棟へ
病院に勤務する管理栄養士はこの20年弱で1.5倍に増えた一方、栄養士は3分の2に減った。=グラフ4=。
この推移から見えてくるのは、
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次回配信は6月7日5:00を予定しています
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