【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長 、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
連載第175回で2022年度の機能評価係数IIの傾向を分析し、20年度と比べ、多くは上昇しており、特に200床未満などの中小病院が高い評価を受けたことについてデータを基に明らかにした。22年度は診療報酬改定もあり、医療機関群が変更となり、DPC標準病院群がDPC特定病院群となった病院では機能評価係数IIが下落するケースもあったが、皆が損をせず納得できる評価とも考えられた。ただし、新型コロナウイルスの影響の少ない月のデータを用いるなどの配慮をしたため、特にカバー率係数で外れ値ともいえる高い評価を受けた病院も散見され、それが機能評価係数II合計に与える影響を指摘した。
本稿では23年4月24日に入院・外来医療等の調査・評価分科会から医療機関ごとの内訳が開示されたデータを基に23年度機能評価係数IIの実態に迫り、今後の在り方について私見を交えて言及する。 (残り1806字 / 全3005字) 次回配信は5月22日5:00を予定しています
なお、23年度は22年度診療報酬改定で設定された機能評価係数IIの評価総額を変更しない形で、21年10月から22年9月までのデータに基づき6つの係数が再設定された。
そこでは、新型コロナウイルス感染症に係る臨時的な取り扱いとして、診療実績に基づく指数のうち、効率性指数、複雑性指数、カバー率指数、救急医療指数、地域医療指数について、新型コロナウイルス感染症患者などを受け入れた保険医療機関等(以下、対象医療機関等とする)に該当する期間を、(1)実績を求める期間から控除した上で、控除した期間と同等の期間を遡及して実績を求める期間とすることにより算出した場合、(2)対象医療機関等に該当する期間の実績値の代わりに、実績を求める対象とする期間から対象医療機関等に該当する期間を除いた期間の平均値を用いて算出した場合、(3)通常と同様の取り扱いをした場合とを比較して、より高い値に基づき算出し、係数が設定された。
どの医療機関のどのデータが用いられたかが不明であるなどの声も上がっているが、コロナで闘った病院に対して一定の配慮をしてくれたことに、まず我々は感謝しなければならない。ただ、結果の受け止め方は病院によって異なり、22年度とは状況が異なっているのも事実である。
グラフ1は22年度と23年度の機能評価係数II合計を医療機関群ごとにプロットしたものである。一定のバラつきこそあるものの、インセンティブとして設定された当該項目への取り組み結果が表れているのかもしれない。本連載では毎年実施してきたが、機能評価係数II合計と各係数などの相関係数をみると22年度と傾向が大きく変わったわけではない。
なお、表のオレンジ色で塗った部分が相関係数で0.4以上であるもので(小数点以下第3位を四捨五入)、これらの項目で評価が高いと機能評価係数II合計が上昇することになる。
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