【国際医療福祉大学大学院 医療福祉経営専攻 教授 石山麗子】
2024年度は診療報酬、介護報酬及び障害福祉サービス等報酬が同時に改定されるため、厚生労働省では現在、同時報酬改定に向けた意見交換会を行っている。3月に開かれた初会合では、取り扱うテーマとして「地域包括ケアシステムのさらなる推進のための医療・介護・障害サービスの連携」「リハビリテーション・口腔・栄養」など9項目を示した=表1=。言い換えると、各報酬の対象者が今後直面すると考えられる課題でもある。
居宅介護支援事業所の介護支援専門員には、18年度介護保険制度改正の際、運営基準に、利用者の服薬、口腔、その他の心身状態に関する情報を得た場合には、主治の医師若しくは歯科医師又は薬剤師に報告することが義務付けられた。利用者の自立支援・重度化防止や、多剤併用や服薬アドヒアランスの状況による健康への影響があるからだ。その項目を上記、課題に照らし合わせると2と8に該当する。
とはいえ、実際にどのように対応するかはケアマネジャー次第である。対応しても報酬上の評価はないし、対応していないからといって指導等のペナルティーがあるわけでもない。他職種から、これらの項目について情報を得た場合、ケアマネジャー自身がその情報に意味を見出せるかにかかってくる。それを大きく左右するのは、その情報が利用者の療養生活のどこに、どのような影響を及ぼすかの知識を備えているかどうかだ。ケアマネジャーは利用者情報を得た場合に、どのような反応を示すのだろうか。
科学的介護情報システム(以下、LIFE)に関して、居宅介護支援事業所のケアマネジャーを対象にモデル事業が行われてきた。モデル事業の結果を参照した。LIFEがケアの質の向上に寄与するかという問いに対して、53.8%が肯定的な回答を示した。では、どのような項目に価値を感じているのか。実際に活用してみたい項目に関する調査では、回答者の属性別(サービス種別)に相違がみられた。項目別に最も割合の高かったサービス種別を筆者により表にしてグレーで示した。
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