【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
介護人材不足という言葉は、介護職員が不足しているという意味で使われることが多い。しかし昨今は介護職員だけではなく、介護支援専門員の募集への応募がなく、有資格者の確保に苦労する介護事業者が増えている。
2022年度の介護支援専門員実務研修受講試験の受験者数は5万4,406人で、このうち1万328人が合格した。受験者数は前回比プラス116人と微増で、3年連続の増加となったものの、合格者数は4年ぶりに減少し前回よりも2,334人減った。しかし、この数字はあくまで試験の合格者数にすぎず、全員が介護支援専門員の実務に就くとは限らない。一方で5年ごとの資格更新を行わない有資格者も多いし、介護支援専門員の実務から離れてしまう人も少なくない。
つまり、新たな有資格者が全国で1万人程度増えても、介護支援専門員の実務者の数自体は、さほど増えていないか、むしろ減っている可能性さえ否定できないのである。現に、居宅介護支援事業所の数は18年のピーク時から減少し続けており、その原因として事業所の中規模化・大規模化だけではなく、介護支援専門員の確保が難しくなっていることが指摘されている。(※居宅ケアマネの実数は、国も把握していない)
この原因の一つに挙げられるのが、介護職員と介護支援専門員の給与格差が縮小したということだ。介護保険制度が創設された直後は、介護職員よりも介護支援専門員の給与の方が高く設定されている事業所がほとんどで、そのため多くの介護職員がキャリアアップとして介護支援専門員を目指し、試験を受けて合格した後、介護支援専門員の実務に就く傾向にあった。
しかし、介護職員の給与改善を目的にした処遇改善加算が創設されるなど、介護職員の給与が確実にアップする中、居宅ケアマネは処遇改善加算の配分を受けることができないことなどで、介護職員ほど給与が上がっていない状況だ。場合によっては、介護職員のままでいる方が、年収が高くなるなどの逆転現象も見られている。そのため、介護職から介護支援専門員を目指そうという動機付けが失われつつある。
■ケアマネの待遇改善へ、厚労省が方針提示
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