【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■周産期医療の提供体制維持を難しくする少子化の進展
厚生労働省は2月末の人口動態統計の速報で2022年の出生数は79万9,728人で、1899年の統計開始以来、初めて80万人を割り込み、過去最少となったことを発表した。少子化は周産期医療を担う医療機関の経営にも影響を及ぼす。出生場所別の出生数の推移を見ると、1970年代半ば以降、病院・診療所どちらでも減少が続いている=グラフ1=。
病院と診療所の出生数を比べると、病院の方が若干多い。比率はほぼ1対1である=グラフ2=。
■出生数の減少が分娩取扱施設数の減少に
分娩取扱施設数が減少している。2008年に病院1,149施設、診療所1,564施設あった分娩取扱施設は、20年に病院963施設、診療所1,107施設に減った。都道府県別に見ると、ほとんどの都道府県で減少しており、特に診療所の減少が目立つ=グラフ3=。
ただし分娩取扱施設1施設当たりの出生数は、400人前後でほとんど変わっていない=表=。ある程度分娩数がなければ、経営が厳しいことを想像させる。今後、一層少子化が進展すれば、体制維持がさらに厳しくなることは確実である。また、昼夜を問わず診療に当たることの多い周産期医療は働き方改革の影響も受けやすい。分娩数が減少したとしても、医療チームの縮小は避けなければならない。そのため、経営的により厳しくなることが想定される。
さらに、1施設当たりの出生数は平均400人程度であるが、あくまでも平均値である。各施設の分娩数の分布にはばらつきがかなり見られる。1,000件を超える施設がある一方で、200件に満たないところも少なくない=グラフ4=。
■やめたくてもやめられない病院が相当数あるのでは
分娩取扱施設について、病床数と分娩数の関係を見た=グラフ5=。
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次回配信は4月26日5:00を予定しています
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