【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■心不全パンデミックのインパクトを考える
多くの急性期病院では近年、心不全の入院患者が増えている。心不全患者は後方病床での受け入れが難しいケースが多く、退院調整に苦慮する代表的な疾患である。加えて、2022年度診療報酬改定で、「重症度、医療・看護必要度」(以降、看護必要度)の要件から心電図モニターの管理が除外されたことにより、「心電図モニターをつけた」病態の厳しい心不全患者が、なかなか退院できず、看護必要度も満たさない、というベッドコントロールを悩ませる事態が生じている。
その“悩ましい”心不全の患者は、今後増えるのだろうか。「心不全パンデミック」という用語も一般的になりつつあることから考えても、今後増えることが想定される。そこで、患者調査の入院受療率と国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口を参考に心不全の入院患者数を予測すると、40年頃まで急増する試算結果となった=グラフ1=。 (残り1530字 / 全2209字) 次回配信は3月29日5:00を予定しています
心不全以外に、代表的な心疾患である狭心症と急性心筋梗塞も同様に予測すると、20年から40年にかけて増加のペースが異なり、心不全に比べ緩やかな伸びになっている。また、急性心筋梗塞はピークのタイミングが35年頃で、心不全より若干早い想定である=グラフ2、3=。
この先、見込まれる循環器系疾患の入院患者数の増加は、主に心不全患者である。その増加は40年頃まで続く上に、その増加ボリュームも大きいことから、地域における診療体制を中長期的に構築していくことが不可欠である。
■心不全患者を看るのは一般病床か療養病床か
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