【千葉⼤学医学部附属病院 副病院⻑、病院経営管理学研究センター⻑、ちば医経塾塾⻑ 井上貴裕】
コロナ禍で患者数、特に入院患者数が減少したことをデータで示してきたが、それに合わせるかのように看護師数も減少している病院も多い。看護師の大量退職などの報道があり、そのことを裏付けているのかもしれない。もちろん、メディアの報道は物事の一面しか捉えておらず事実誤認という可能性もあり、鵜吞みにする必要もない。専門家でないのだから、状況を適切に把握できるとは限らない。ただ、看護師、特に若手の退職が進み、採用に難渋する病院も少なくないのが昨今の状況である。本稿では、ここ数年の急性期病院における看護師の配置状況についてデータを基に整理し、病院経営におけるその重要性に言及する。
病院全体で看護師数が減少しているかを確認するために、病院(一般病床及び療養病床)において勤務する看護師数を見たものがグラフ1であり、全体としては増加傾向にある。
ただし、都道府県別に見ると地域により多少の増減が見られる=グラフ2=。一方でグラフ3は病院における看護補助者数であり全体として減少傾向にあり、これも地域による違いがある=グラフ4=。ここから病院勤務の看護師数は決して減少したわけではないが、看護補助者はコロナの影響もあってか病院を敬遠していることを意味するのかもしれない。看護補助者へのタスクシフトを進めるべき今、この状況は将来の看護師数にも影響を与えかねず望ましい状況とはいえない。
ただ、2020年あたりから看護師の退職が相次ぐ病院も多数存在し、ここにはコロナ禍の影響が一定程度あるように私は感じている。
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次回配信は3月6日5:00を予定しています
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