【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
介護事業に生産性の向上が求められて久しいが、厚生労働省は年明け早々、2023年度から都道府県ごとに「介護生産性向上総合相談センター」(仮称)というワンストップ相談窓口を設置する方針を示した。これは、生産性向上に関して今のところ十分な成果が出ていない事実を表しているとも言える。
そもそも、生産性とはどれだけの資源(ヒト・モノ・カネ)を投入した結果、どれだけの成果が得られたかという意味である。人を減らしても、そのために過度に費用を支出してしまえば、生産性の向上にはならない。そのさじ加減が重要となる。
また、「生産性の向上=業務効率化」というイメージを抱いている人もいるが、その考え方は間違っている。業務効率化は生産性向上に寄与する施策であるが、選択肢の1つにすぎない。ところが、人手不足の介護業界では、業務を効率化させて人手をかけない点に偏った生産性向上の議論が行われており、これが介護サービスの質の低下や、利用者の人権を無視した作業労働の繰り返しにつながっている。
例えば、「介護事業の生産性向上」を前面に出して、事業経営を行っていた人は誰だろうかと考えた時に、その危険性が理解できるのではないか。
■過去の失敗事例
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