【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■2022年は急激な物価上昇の1年だった
17年12月から22年11月まで直近5年分の消費者物価指数の推移を見た=グラフ1=。グラフ中、赤色に塗った22年はこれまで経験したことがないような物価上昇の1年となった。併せてGoogle Trendsでキーワード「物価」の人気度の動向を見たところ、同様に22年は徐々に上昇していったことが分かる=グラフ2=。
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個人の肌感覚でも、値上げのニュースを度々目にし、毎月の光熱費の明細書は見る度に単価が上がった。当然、医療機関の経営への影響も甚大で、水道光熱費や給食材料費の増加は、医療機関個々の努力の範疇を超えているように思う。
さらに、各県庁所在地の22年11月の消費者物価指数で都道府県地図を塗り分けた=グラフ3=。この地図から分かるのは、物価指数に多少の差はあれ、全国的な医療機関の経営圧迫の理由の一つは物価上昇であるということだ。
■人件費も上昇が続いているのでは
物価上昇は、世界的な需要増加やウクライナ情勢の影響による小麦などの原材料価格の高騰、原油価格の上昇による物流費の増大、円安による輸入コストの増大など、さまざまな要因が重なった結果であると言われている。先行きの不透明な物価上昇に対し、各医療機関の取り組み余地としては価格交渉や無駄を減らすくらいだろう。しかし、すでに多くの医療機関は従前から努力を尽くしている所がほとんどであり、乾いた雑巾を絞るような行き過ぎたことをすれば、ほとんどコストは削減できないばかりか、医療の質低下や、職員のモチベーション低下、取引企業との関係性悪化などの弊害が大きくなりかねないだろう。
では、医療機関の費用において大きな比率を占める人件費を抑えることは可能だろうか。
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